World Rock Festival/Fukushimaさんの想い出

[札幌のワールド・ロック～地元のバンド]
　当時高校 1年生だった仲間同志で、札幌のワールド・ロック・フェスティバルへ足を運びました。真駒内屋内競技場で行われたコンサートは、ほぼ満席だったと記憶しています。当時の記憶はほとんどないので、誰が何の曲をやったのかは定かではありませんが、当時は海外のアーティストよりも、クリエイションや四人囃子、そしてカルメン・マキの姿にやたら感動していたように思います。確かにジェフ・ベックはつらそうでした。風邪が長引いていたんでしょうかね。
　札幌ではインターバルを埋めるショーのようなものはなく、たんたんと進行していたように記憶しています。一緒に行った友人が買ったばかりのレコードを盗まれたというのと、札幌で活動していたスカイドッグ・ブルース・バンドというのが前座で出て、オールマン・ブラザーズ・バンドのコピーでB.B.キングのメドレーをやったような記憶があります。その後、彼らもメジャー・デビューを果したのですが、彼らのその後なんぞ何方かご存知ですかね？
　そうそう、四人囃子はほどなく森園さんが脱退し、やはり札幌で活動していたクロス・トゥ・ジ・エッジ(!)というプログレ・バンドのギター、佐藤満さんが参加したというのも、あのころの日本のバンドの動きとしてよく覚えてます。

会場となった
真駒内屋内競技場

[北海道でのロック]
　とりあえずたいした情報ではないですが、ご参考になれば、というより、ロック・コンサートの僻地に住んでいた北海道の動きのひとつとして。
でも、地味ながらいいコンサートは細々と開催されていましたけど、ジェシ・コリン・ヤングとか、デビッド・ブロムバーグとか、トム・ウェイツとか・・・スリーピー・ジョン・エステス with 憂歌団(!)とか。お客さんがなかなか集まらなかったような、集まったような。
　北海道でのロック系外タレと言えば、初見参は72年、中島スポーツ・センターのピンク・フロイドでしょうか。そのあと、シカゴが来たのでした。レインボー、忌わしい事故が起きました。それにしても今思えば、冬はスケート・リンクになるような、恐ろしく音響の悪いスポーツ・センターなんぞで、よくもやっていたなあと思います。普段はプロレス巡業、大相撲巡業、はたまたサーカス巡業の会場ですもの。例のレインボーの件以降、あそこでロックコンサートは開かれていないんじゃないかな？
　私個人としても、あの事件以降急速にロックに冷めていってしまい、しばらく聞かなくなっていた時期でもありました。札幌ではディープ・パープル人気は高く(私も一生懸命コピーしてましたが)、彼(リッチー)が来るということだけで、札幌のファンは狂喜していたんじゃないでしょうか。そこに過剰な警備との軋轢が、結果としてあんな悲劇になってしまって。

[あとがき]
　当時のチケットやプログラムを持っているのですが、今引越しの準備中で段ボールの奥底に眠っています。片付いた折に、お見せしたいですね。少ないこづかいを工面して行ったコンサートはあまり多くなく、当時のチケット半券(そんな響きも古いなあ)やパンフを大事にとってあったんですよ。学校のカバンの奥底にテープレコーダー(結構でかかったやつ)をしのばせて録音したコンサートもいっぱいありました。いつのまにか無くしてしまいましたが、聞くに絶えない音質ですが、当時はずっとその余韻に浸っていましたねえ。

[追伸]
　今思えば、あのコンサートもすごいメンバーですね。ジェフ・ベックのドラムスがバーナード・パーディーだったのですか。やけにぶっといビートをだす人だなあと思っていたのですが、あの頃はたいして知識もなく、バックがどんな人たちなのかなんて、皆目わからなかったですね。今なら狂喜しそう。
　札幌のアマチュアバンドの3バンドも、当時の札幌では有名なグループでした。ジパングがハードロック系、スカイドッグがブルース系、クロス・トゥ・ジ・エッジがプログレ系（名前でわかりますね）。プロとしては到底暮していける環境ではなかったので、みんなどうやって稼いでいたのだろう。
その後、ジパングとクロス～は解散し、二つのグループが一緒になって"スーパーセッション"のような形で一時活動していました。ほどなく佐藤満さんは四人囃子に加入して、解散したと思います。そして旭川にはあの安全地帯が活動を始めていた頃です。当時友人のバンドが札幌でコンサートを開いたとき、安全地帯はその前座で出演していたそうで、立場も変わるものですね。
　そんなローカルな音楽環境や歴史って、なかなか首都圏からはわかりにくいことです。地方の音楽の流れがあってこそ、メジャーになった彼らの今があるのでしょうし。
(この原稿はFukushimaさんから頂いた複数のメールを、ひとつにまとめて編集したものです。)

※ヒリュウより
　Fukushimaさん、どうも有り難うございました。なかなか知ることの出来ないワールド・ロック地方公演のお話や当時の北海道のロック状況など、大変興味深かったです。
　75年 8月 3日のワールド・ロック・フェス札幌公演では、前座として地元のバンドが出ていたのですね。少し調べてみたところ、最初に地元バンドのジパング、スカイ・ドッグ・ブルース・バンド、クロス・トゥ・ジ・エッジの 3バンドが登場。続いてマキ OZ、ニューヨーク・ドールズ、四人囃子、クリエイション、コスモス・ファクトリー、フェリックス・パッパラルディー with ジョー～内田裕也、ジェフ・ベックの出演順で、正午頃からスタートし、夜10時近くまで行われたそうです。
　会場となった真駒内屋内競技場は札幌オリンピックの時にできた施設で、フィギュア・スケートのジャネット・リンが有名になったところですね。
　
　Fukushimaさんのチケットやプログラムなどが出てきましたら、是非ここに掲載したいものです。

競技場の中