[75年 日本ロック・ピーク説〜サマー・ロック〜ワールド・ロック]
　まずワールド・ロックの位置づけなんですけど、行われた年が75年で、例のピーク説はこのフェスが基準なんです、私の場合。それくらい、出たバンド、出ないにしても周辺に居たバンド達の音は本物だったと確信してます。でもこの後「ロックは確実に売れるもの」となって商売化していったことも事実なので、そういう瀬戸際が生む瞬発力もあったと思います。
　
　チケットは池袋東武デパートで求めました。ここは穴場であったのか、或いは当時は未だロックがマイナーな文化だったのか、何時行っても売り切れだったことがないんですよ。この前月にサマー・ロック・フェスが行われて、そのチケットもここで買いました。サマー・ロックはいわば前哨戦で、PAの予行演習をしたのでしょうか、ミカバンド、外道の出来が素晴らしかったです。

[イエロー]
　さてワールド・ロック始まりました。イエローてどこか営業くさくて、私の場合あまり馴染めなかったの。実際ディスコでもやってたんでしたっけ。

[ジェフ・ベック]
　次があっと驚くジェフ・ベック。本当はトリだったんでしょう、みんな腰抜かしましたよ。まさかこんな早く出てくるなんて。風邪で早く出てきたそうですけど、演奏は神懸かりでしたね。レスポールのあの内省的な、それでいて図太くしかも美しいとしか言いようのないサウンドでした。フレーズも鳥肌連発の素晴らしいもので。近年のベックのアルバム評判ですけど、この時代のベックと比べると劣ると思いますよ。それほど鋭いフレーズだったんですけど、バックを支えたミュージシャン達もハンパじゃなかったもんね。最近のレココレでマックス・ミドルトンがインタビューで「一番楽しかったのはバーナルド・パーディ達とやった頃だ」と答えていてね、我が意を得たりとほくそえんだものです。(ヒリュウ註　レココレ：雑誌「レコード・コレクターズ」)

[カルメン・マキ]
　マキOZは最後春日さんがギターを放り投げた場面が印象強いです。直前にやったベックの音に負けていう事だったらしい。

[クリエイション]
　クリエイションはこの年ファーストが出たんですけど、私の場合ずっと追いかけていて、待ちすぎの感もあったのよ。だからステージの雰囲気もこなれすぎに見えました。あとPAの不調とベースの松本さんが珍しく一個所間違ったので、思わず竹田さんが糞PAって怒鳴ったのかななんてね。でも隣に座った静岡の女子学生は「本当にこんな凄いバンドが日本に居たんですね」と、隣の私に向って言うたのでした。

[四人囃子]
　四人囃子ですが、大抵の日本ロック関係の本で彼等のベスト演奏は郡山のワンステップいう事になってるけど、この日も最高だった。なにしろ途中で拍手が巻き起こったんですからね。

[ニューヨーク・ドールズ]
　多分今の時点で聞くと一番面白いのがドールズでしょうね。先取りしていた音、凝った音いうより屈折した音いう感じで。当時は早く終わって呉れないかなどと思ってましたが。

[ワールド・ロック・フェスティヴァル・バンド]
　最後のワールド・ロック・フェスティバル・バンドは最高だった。核は竹田和夫のギターで、この日「ナンタケット・スレイライド」を聞けた人は幸せですよ、こんな泣きのギター弾ける人居ないもんね。ジョー・山中の「ウーマン」も思い出深いです。パッパさんの指揮ベースが特筆もので、あの人はメンバーの間をしょっちゅう歩き回りながら、表情を確かめながらベースを弾くの。ああやって感情を高めていくんでしょうね。

※ヒリュウより
　笹だんごさん、どうも有り難うございました。春日博文のギター投げ事件の理由や、竹田和夫の「クソPA・・・」事件の真相など、興味深いお話ばかりでした。
　また、ニューヨーク・ドールズについて「まだ日本の土壌が彼等の音を理解するまでに至らなかった・・・」と、以前に笹だんごさんが書かれていたのですが、言い得てるというか、当時の日本のロック・ファンの多くには受け入れ難かったような気がします。チョットきわもの的な扱いというか。私も早く終わってくれないかなって思いました。(笑)
　
　冒頭、同じ後楽園で75年 7月19日に開催された「サマー・ロック・フェスティバル」の話題が出ました。これはワールド・ロックの前哨戦といった趣で、何故か私は後楽園の外で聞いていました。もちろん全部聞いてたわけではないですが。オープニングは安全バンド、 2番手がマキOZでしたか。
　この模様も文化放送の「セイ・ヤング」で、当日深夜に放送されました。笹だんごさんがおっしゃられるように、ミカバンドが印象的。また、外道が放送禁止用語を怒鳴ったの、これまた忘れられない事件です。良くオン・エアーしたものだと思います。
　
　ところで、笹だんごさんは何故か未使用チケットをお持ちなのですね。さて、どちらに座ってたのかしら？

笹だんごさんのチケット

笹だんごさんのチケット(未使用)

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